ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス
まず単純に映画として素晴らしい。ひとつひとつの画が芸術の域、ということを言ったうえで。
ニューヨークってのは本当に多様で(地区ごとに人種構成や文化、社会課題がまったく違う)。それぞれの地区の課題に応じて分館の活動内容にも違いがあって。その地域への寄り添い方が本当に見事で。なおかつ公共図書館としての使命に関しては一貫したポリシーがあって。なんというか無印良品の社内活性化運動をお手伝いしたときのことを思い出したのです。企業としてのビジョンや行動指針の策定と、それを実際の店舗でのアクションに浸透させるための活動。
もちろん「公共」図書館とは何か、図書館の現代的な課題は何かを考えるうえでも参考になる映画なんですが、私にとっては組織運営のあり方を考えさせられた映画でした。トップが発すべきメッセージは何か。限られた予算のなかでどの分野に注力すべきなのか。階層に関係なく、全てのスタッフが自主性と創造性を発揮できる職場をどうつくるか。これ、まさに(無印良品の社内活性化運動で勉強させてもらった)CIの視点なんですよね。ニューヨーク公共図書館は世界のなかでも類例がないぐらい、CIに成功している組織なのかもしれない。
思えば太田で美術館・図書館をつくったときも、なによりも大事にしたのは全ての人が意見を言いやすい環境をつくることだったりします。正職員も。嘱託の人も。とにかく会議を明るくする。プレイベントを旺盛に仕込んで職員にもアーティストと一緒に働いてもらう。嘱託の人たちから企画コーナーのアイデアを出してもらう。専門家が一方的に上から抑えこむだけじゃいいものなんてできない。それだけはブレずにそう考えていて、いろいろな工夫をしたつもりです。成功したかどうかは自分ではわからないけど、思えばそれって、CIで学んだノウハウなんですよね。
そして立川でも、CI的な視点は大切にしたいと思っているのです。急激にまちに関わる人が増えるいまだからこそ。ということで立川関係者、特にマネジメント側にいる人たちはみんな見て!!