FAKE

あちこちで話題になっている森達也監督の新作。なるほど快作でした。劇場であんなに笑いが起きてるの久しぶり。シニカルなユーモア。森さん健在なり!って感じよね。

佐村河内さんは結局「嘘」をついているのか。僕はその真相にはあまり関心なくて、それよりドキュメンタリーは何を映すのかってことのほうに関心があるし、この映画の主題もそちらにあると思う。「信じます」「心中ですよ」。佐村河内さんの立場に立つことを宣言したカメラはようやく曲を完成させた佐村河内さんを神々しく映しだす(生足だけど)。調子にのりまくる新垣さんは(頼まれたら断れないいい人なんだろうけど)ただの間抜けに見えるし、フジテレビの社員はどこまでも卑劣に見える(あのうなずいてるだけの若手の軽薄そうな佇まいときたら!)。バッシングされた側から世界を捉え直す。そこには確かに世間一般が知っているのとは違う風景がある。

しかし森さんは、エンドクレジット後に「あの」シーンを用意している。

エンドクレジットに「曲:佐村河内守」がクレジットされていないのも興味深い。森さんは何を信じて、何を信じなかったのか。「作曲」とは何か。「創作」とは何か。そして「ドキュメンタリー」とは何か。いくらでも受け取り方があり存分に楽しめた。あと猫最高。