高嶺格 とおくてよくみえない

横浜美術館。なめんとんのかこら、的な感想が飛び交ってるという噂を聞いていたけど、僕は楽しめた。
冒頭の展示。観てない人のためにネタばれしないほうがいいと思うけど、ああいう人をくったような悪い冗談は嫌いじゃない。ブラックユーモア。だと思わずに観る人もいるのかもと思うと気の毒にもなるけど(ああいうキャプションは僕もいくらでも書けると思う。楽しかっただろうな〜、書いた人ww)
油粘土の作品は普通に美しくて、でもさっきの冒頭の展示のノリが残ってるから、つい茶化した感想を言いたくなる。イスラム的な幾何学文様のようにみえるが、どこか呪術的でもある。高嶺は単純な構成の中に天地をつなぐ普遍の言語を生み出している、とかなんとかww
《A Big Blow-job》。これは一番楽しかった。見覚えがないけど、横浜トリエンナーレにも出展された《鹿児島エスペラント》 の流れを汲む作品だとか。言葉を遊ぶ。その虚構を遊ぶ。ここまでの流れは悪くないと思う。
後半はすでに観たことあるビデオ系の作品が並んでいて、あー、これも観た、あれも観たってなるのは避けられないんだけど、とはいえやっぱり「God bless america」や「Baby Insa-dong」はやっぱり名作だよなと思うわけで。でも最後の最後、展覧会の「とおくてよくみえない」はあんまり好きになれなかったな〜。なにが好きじゃないのかをネタばれなしで書くのは難しいけど、簡単にいえば僕に撮ってはちょっとあざとく感じてしまうタイプの作品。ある意味では高嶺さんも出演してたダムタイプにも通じるようなテーマだけど、でもどうなんだろ。あんまりぐっとこなかった。
しかしダムタイプ。。いまさらながらたくさんの人材を残してるよな〜。古橋さんの言葉を今一度思い出す。

「アーティストは愛を語る人ではなく、愛そのものでなければならない。」

京都の底力、当時の(今も?)京都市立芸術大学の熱気、いろんな要因があるだろうけど、それを爆発させたのはやっぱり古橋さんの圧倒的な本気だったのかなと思ったりする。高嶺さんもまた、クールさと本気をないまぜにした、不思議な魅力のあるアーティストだ。