恋する原発 高橋源一郎

facebookに<「ま○こ」と「ち○こ」と「う○こ」の話ばっかりですが、切実なる恋の物語でもあると思います。「○ん○」の話で号泣>とか書いたらいつになく反応があったりして。みんなこの手の話題は好きなんだな〜(笑)

まあ冗談はさておき。あらゆる不謹慎ネタをつぎ込んだ本作。僕は正直いって80年代の高橋はあまり知らないのだが(というかあまり好みでなかったのだが)、それでもこの小説が持っているある種の若さというか、反骨精神にはぐっとくるものがありました。

こんな時代に何を信じればいいというのか。

そりゃもう「ま○こ」と「ち○こ」と「う○こ」しかないでしょ。

なかでも「う○こ」のチャプターはすげえ良かったな。なにを美しいと思うかなんてほんとにどこまでもその人の自由だし、別に分かってくれなくてもいいし、でもその人にとって切実に美しいものは、やっぱり美しいんだよね。

震災文学についての評論(これは大変興味深かったです!)を挟んでのクライマックスは正直いってちょっと安直というか、それ以前のチャプターほどのテンションを感じられず若干残念な気がしたけど、それでも、いまこのとき、これを書き上げたというのは、まさに渾身の仕事であったろうと思います。

しりあがり寿さんの「あの日からの漫画」も良かったけど、これもまた必読の、震災以降の文学。

恋する原発

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