SHIP IN A VIEW

パパ・タラフマラの「SHIP IN A VIEW」。

会社を出るのが遅くなってしまい、舞台にきっちり集中できるか不安だった(僕は映画も舞台もある程度の余裕を持って会場に向かいたい小心者)。ぎりぎりで駆け込んだ会場。頭が仕事モードから観劇モードに切り替わっている気もしない。。。でも今回も小池さんのプレトークがあり、ようやく呼吸を整えて舞台に正対する。さて。。。



いやもう圧巻でした。美しかった!!

もうそれ以上何も書かなくてもいいかも。

とにかく、抜群に、美しかったのだ!!!!



アンビエントとノイズを組み合わせた音楽。電球を使ったインスタレーションのような照明(あれは多摩美の森脇先生だったのね!)。初演(97年)当時のエッジ??であるゆえに古く映ってしまう可能性もある演出だが、圧倒的な強度を持つ身体表現がそれを凌駕していく。「島ーisland」で惚れ込んだ小川さん、松島さんはやはり圧倒的だが、いやいやどうして、他の出演者の身体もすごい。それぞれの役に勝手に「名前」をつけたくなるぐらい、キャラクターがたっている。それぞれにユニークなキャラクターたちが、ときに激しく、ときに静やかに、そしてときに艶かしく、舞台から、劇場の空気を、支配していく。


おそらくは小池さんのとある一日の「夢」を再現したのであろう舞台、ゆえにこれはきっと褒め言葉になっていると思うのだが、一時間半の舞台の間、なんども舞台上の夢の世界と僕自身の夢の世界を行き来した。まあカッコつけずにいえば寝落ちしているわけだが(笑)、それはけっして退屈だったとかそういうことではなく、いやおうなく観客である僕自身の想像力までもが膨らんでしまって、舞台とは別に、僕自身の物語が走り出すような。そんな感覚。風邪薬の副作用だった可能性も否定はできないけど(苦笑)、あの体験、光悦はちょっと言葉では表現しにくい。


身体の動きそのものでは(そういえば「島ーisland」もそうだったかもしれないけど)武術のような動き方が興味深かった。鋼のような強さではなく、しなりのある強さ。ピンとはりつめた右手のまましなやかに横に移動する動き。ゆらゆらと幻想的な群舞。目に焼き付いて離れないシーンがいくつもある。すごいなパパタラ。ほんとにすごい。


「島」との対比でいえば、物語性が強い分、「島」のほうが好みかもしれない。でもこの「SHIP IN A VIEW」も間違いなく僕の中に一生残っていく作品になるだろう。


まことにぎりぎりになってしまったのがあれだけど、解散前に、このカンパニーを体験できたことを幸せに思う。こうなったら最後の白雪姫もいかねばだな。お金がもつか不安だけど(苦笑)

谷川さんの詩からはじまる「ロング グッドバイ」もじっくり楽しませていただきますね。