トラッシュマスターズ「極東の地、西の果て」

本多劇場でのトラッシュの公演。前回の本多は観れなかったのでこの劇場でのトラッシュはお初。個人的にはトラッシュはデカ箱のほうが向いてる気がしてて、とても楽しみに観にいったのですが、結論から先にいえば、これまでのトラッシュ作品の中では一番のれなかった。

とにかく前半の「芸術論」が退屈。討論内容のステロタイプっぷりもさることながら、話題の中心になる「絵」がどうにもこうにも。。。あれを見ながら「良い作品だ」とか感嘆されても冷める。というかどんな「絵」だってあの役割(来るべき世界を予見し、観るものを揺るがす大傑作!!)には耐えられないだろう。「絵」そのものもは見せずにマクガフィンにするか、あるいは中途半端な岡本太郎「風」になぞせず、本物の岡本さんの作品を使うか。誰が描いたのか知らないけど、あの「絵」を発注された人は可哀想だよ(というか頼まれた人もあの位置づけで使われることを知ってるなら受けるなよと思うけどね、「芸術」に対して本気なんだったらさ!!)。

後半の中心は食料問題。ミステリー仕立てなのは悪くないと思うし、良くも悪くもいつものトラッシュ。詰めは甘くとも持ち前の熱量で疾走するのだが、前半の説得力のなさゆえか、劇画調の発声やら、ド直球のキメ台詞やら、普段なら赤面しつつも「いいな〜、中津留さん、熱いな〜」と観れる部分までもがいちいち気に障る。陰謀論だろうがなんだろうが構わないんだけどさ。フィクションなんだから。でもばかばかしくなってくるんだよね。あの絵を崇拝している人たちのお話かと思うと。

他の人が正面から言わないことをまっすぐ言うのは中津留さんの長所だと思っている。これまでも細かいことに不満はありつつ、その「熱さ」に惹かれ、応援してきたし、可能な限り作品も観てきた。これからも応援するし、観に行くのをやめる気もない。でもこの作品は僕には厳しかった。中津留さんとトラッシュの面々へのリスペクトは消えないが、この作品に限っていえば「熱さ」が裏目に出ていると思う。