3.14ch 司令室

少し早めに着いてしまったので王子のもつ焼き屋で一杯。ここがもういかにも下町のもつ焼き屋で、お世辞にも美味しいとは言い難いのですが、お店のママも、集まってるお客さんも、なんともいえず味がありました。いいな〜、落ち着くな〜、この雰囲気。などとすっかりいい気分になりつつ、王子小劇場へ。

3.14chの「司令室」。作・演出のムランティンはじめ、何人かの知り合いがいる劇団で、最初にみた「帰郷」からはとても良いインパクトを受け取ったのだけど(参照:http://d.hatena.ne.jp/chabo72/20120916/1347776109)正直、前作の「小型」はあまり好みではなくなっていて(参照:と思ったけど何も書いてなかった、すんません)、今回も半信半疑で観に行ったのですが。。

結果からいえば大満足。イケたよ、俺は。イケました。

自分で舞台に立つ人たちが概ね辛口のようですが、それはそれで良く分かる。僕だって表現としてレベルが高いとは思わないし、詰めも甘い。誰とはいわんけどはっきりとレベルが低い役者もいる(身体表現を取り入れるとあの姿勢の悪さ、立ち姿のゆるさが余計に気になっちゃうよ〜とかね。。。)でも僕が3.14に求めていることはもっと違うことなんだよね。

「帰郷」の感想にも書いたけど、僕にとっての3.14chは、かつてロフトでみたパンクバンドみたいなもので、技術も知恵も足りないけどとにかく熱量だけはある、みたいな、その熱量にやられる瞬間が愛おしくて観に行ってる。だから変にコンパクトに、劇作としてまとまりがあった(まとめにいった?)「小型」より、こっちの方が断然好みなんだと思う。

男の子の頭の中はいつだってカオスで、そこには出口なんかなくて、演出のアイデアだって、フックになる言葉だって、どっかで借りてきたものばっかりで、最後に出される結論だってどうにもなんないほど陳腐で、身勝手で、でもそんなことはたぶん自分が一番分かっていて、それでも吐き出さずにはいられない何か。何かだけはある。まとまらない思考が、まとまらない脚本になって、まとまらない演技のまま押し寄せてくる。その押し寄せてくる圧力に、僕はぐっときてしまう。

これはたぶん僕の嗜好性の問題で、嫌いな人、評価できない人がいるのも分かるし、はっきりいってそういう人のほうがまともなんだろうとも思うのですが、それでもおれは好きなんだよね!!こういう人たちが!!

好き嫌いははっきり分かれると思いますが、パンクとか、ピンク映画とか、そういうものが好みの人、表現に向う初期衝動にやられがちな人は何かしら感じることがあると思います。今日が千秋楽。やたらと出演者の多い舞台で、チケットも残り少ないようですが、興味ある方はぜひ(って、今頃宣伝しても遅いのでしょうが苦笑)