悪の法則

好みすぎて悶絶。美しかった!!!!

コーマック・マッカーシーの書き下ろし脚本ということで、まあ哲学的というか、難解というか、好みがはっきり分かれることは間違いのない映画。しかし好みの人はどこまでも好みなんじゃないだろうか。

とにかく最初のシーンからその世界観の不吉なこと不吉なこと。オートバイのエンジン音ってあんなに不吉だったっけ??
前半が退屈という人も多いらしいですが、私はもう冒頭から、映画全体から立ち上る不吉さ、息が苦しくなるほどの緊張感に高揚しっぱなしでした。ファスビンダー、ベネロペ、ブラッド・ピットハビエル・バルデム、全ての役者が輝いていましたが、なかでもキャメロン・ディアスの素晴らしさときたら。ベネロペとのプールサイドの会話シーン、バルデムのフェラーリカルフォルニアをファックするシーン、そしてあのラスト!!すぱっと終わる直前のあの台詞、あの表情には完全にやられました。映画だ!!これこそが映画の快楽だ!!思い出しただけでも震えるほど興奮してしまいます。いやはや、あれはすごかった。。。

リドリー・スコットは、ブレードランナーやエイリアンはそりゃもちろん大好きなんですが、とはいえプロメテウスを含む近作はあまり観てないし、世界中の監督が自国の子どもたちをテーマに撮ったオムニバス『それでも生きる子どもたちへ』ではリドリーの作品が一番苦手だったりもして、僕にとっては好きなのか、むしろ苦手なのか、判別しかねていた監督。でも今作を観て、そして宇多丸さんの評を聴いて、ああ、やっぱりこの監督好きなのかもと改めて思いました。その宇多丸さんの評が素晴らしく(特に年間ランキングでの『ずっとやるよね』あたり笑)、もう何かを付け加えて書く気にもならないのですが、特にマッカーシーの脚本との相性の良さは特質ものだったと思います。予めそこにある恐怖。普段は見て見ぬふりをしているけど、厳然としてそこにある恐怖。それがある日、ぎりぎりと動き出す。。。

今年はあまり本数を観ていないので個人的年間ランキングとかは控えようかと思っていましたが、もしつけるのであればこれをナンバーワンにすると思います(『風立ちぬ』は別格扱いということで)。それぐらい好き。大好き。もう何度でも観たい。何度でもしたい。お薦めできる人は限られるけど、僕にとってはそんな映画です。