イメージの力 国立新美術館

僕が日本で一番好きな博物館「みんぱく」と国立新美術館による共同研究の成果をまとめた展覧会。嫌いなはずがない展覧会だったけど、なかなかお邪魔する時間がなく、終了間際にようやくの訪問。期待どおりの充実した展覧会でした。

民博の所蔵品を「イメージ」の発露として捉え直す主旨自体にはとても共感できる。地域別で見せる民博のコレクションを、美術的な切り口(視点)から再編する。仮面から始めるあたりも実にうまい。民博の上質なコレクションと、美術館のキュレーション能力、会場構成の力が融合し、特に前半は文句なしの出来だったと思う。

ちょっとぬるいかもなと思ったのが、おそらく新美術館側が主導したであろう終章。本展の文脈から現代アートを取りあげるときに「もの派」で締めるというのはどうなんだろう。「もの派」自体は嫌いじゃないけど、もっとイマジナリーなもの、一見無駄にみえるほどの遊び心が感じられるもので締めてほしかった気もする。近代的合理主義(グローバリズムといってもいい)が世界中を覆い尽くす現代における「イメージの力」とは何か。そこに踏み込んでも良かったのではないだろうか。