雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

ちょっと危険そうな(辻仁成か!!みたいな)邦題で、あまり興味のわかない映画だったんだけど、静かな、地味といえば地味だけど、それでもぐっとくる傑作だった。

とにかくジェイク・ギレンホールがとてもいい。奥さんの死に実感がわかない。あまり悲しくもない。そんな自分がよく分からない。昔からあるプロットではあるけど、そのもやもや、よくわかるわー、めっちゃわかるわーと終始共感しながら見た。それだけ脚本と演出、そしてジェイクの演技に説得力があったということ(余談ですが、私も子どもの頃はなんでもかんでも分解する少年でした、だから彼がとくに自分でも理由もわからず、なんでもかんでも分解するのもよくわかるし、あの破壊衝動はもっとわかる笑)。

相変わらずとても色っぽいナオミ・ワッツも最高。こちらもとんでもなく説得力のあるキャラクターで、えーっと、そういえばこの作品、原作とかあるのかな。いま公式サイト見てきたけど、そういう記述はなさそうだから脚本のブライアン・サイプが優秀ってことなのかな。なんにせよ息子との、そしてジェイクとの距離感がとてもよくて、特にジェイクとのデートシーンはとんでもなく切なかった。きゅんとなった。

そして少年よね!!あのひねた目!!あの世代だけがもつきらめき。痛み。その全てを体現していたと思う。すっばらしい!!奥さんのお父さんもなあ。堅物だけどいい人でねえ。でも結局、男どもは何もわかってないのよね。家のこと。奥さんのこと。娘のこと。。。

こういう登場人物のひとりひとりが愛おしくなる映画は大好き。みんながみんな、明らかな欠点をもっているし、社会的に成功していようがいまいが、本質的に弱い人たち。でもどうしてもその弱さが愛おしくなってしまう。人生ってそういうもんだと、最近ほんとに思う。

そして冒頭の邦題。あの危険そうなタイトルにこんなにも泣かされてしまうとは!!

ラストシーン。回る回転木馬をみながら、あー、なんて豊かな、なんて優しい映画なんだろうって胸が熱くなった(余談ですが回転木馬は映画のアイテムとしてずるいですよね)。この映画、ひょっとしたら僕のなかで今年かなりの上位に食い込む映画になるかもしれない。こういう映画に出会えるから、映画館に通いはやめられれない。