名前探しの放課後
「ぼくのメジャースプーン」があまりにも面白かったので、そのままの勢いでこちらも一気に読了。うん。好みとしては「メジャースプーン」だけど、これもこれで良いんじゃない。
ちょっと出てくる人たちがいい人すぎるのは気になるところ。こちらも「仕掛け」満載でネタバレしちゃいけない小説なんだけど、最後はえー!そうだったの?という驚きが待っていて、すっごいいい話だけど、こんないい人ばっかの学校なんてあってたまるか!!という気分にはなります(ひねくれものですいません苦笑)。「メジャースプーン」が孕んでいる厳しさのようなものも希薄で、ちょっと物足りない気分になる人も多いかもしれない。
でも「メジャースプーン」と続けて読むからこその大きな喜びが仕込まれてたりして、ああ、やっぱり辻村さんは「物語」が大好きな人なんだなあと強く思います。「物語」の持つ力を心の底から信じて、まるごと受け入れることができる人。
私にとって生涯ベスト級の小説「灯台守の話」を思い出します。ジャネット・ウィンターソンは「自分自身をつねにフィクションとして語り、読むことができれば、人は自分を押しつぶしにかかるものを変えることができるのです」と書いた。辻村さんもきっとそう思っている人なのでしょう。だからこそ辻村さんの小説は「ひねくれたすえに四角くまとまって」いるのだと思います。
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