インセプション

ものすごく久しぶりになってしまいました。。

最近、忙しすぎたのと気分が乗らなかったのとでまったく映画を観てなかったのですが、ようやくの映画館復帰。27日金曜日、六本木ヒルズのTOHOシネマ7番スクリーンにて。けっこうギリギリの到着だったんだけど席はガラ空き。前方ど真ん中、その列は僕だけという、たいそう幸せな環境で観ることができました。このスクリーンはほんとにスクリーンがでかくて、視界いっぱいに映像が広がっている。音響もたいそう立派で体ごと揺らしてくれる。映画ってやっぱりいいなと。素直にそう思いました。復帰できてよかった。

映画もとても良かった。というか「良く出来てんな〜」ってのが一番の感想。

事前に聞いていた「惑星ソラリス」の語りなおしってのは正直意味が分からなかった。なにせ観てないもんですから。タルコフスキー惑星ソラリス(恥)。レムの原作は読んでるけど、原作で一番分厚く語られてるのって「相互に理解不可能な認知思考体系をもつ他者の間にコミュニケーションは成立しうるのか」という思弁的な問題で、、、そういえば死んだはずの人間が現れるというくだりはあったけど、あまりそこは覚えてなかったんだよね。あとで某人に教えてもらったんだけど、映画版ではそこ(死んだはずの人に対する罪の意識)の部分がフューチャーされているらしいですね。それは確かに、「映画」にするには良い仕掛けなのかも。。観てみたいな、タルコフスキー。。

というわけでタルコフスキーとの比較では僕はこの映画は理解できていないわけですが、それはおくとしても、本当に良くできた映画だったと思います。5層(かな?)の夢と現実の構造は素晴らしいね。深く階層をもぐるごとに主人公の苦悩が明らかになっていく物語としての構成も見事。エンターテイメントを追求しつつ、ものすごく重いテーマを扱い、最後までまったく退屈させることがない。「アイデア」という言葉(てか概念)に対する思弁の浅さ、みたいことはちょっと気になったけど、そこはきっと「文学」の仕事なんだよね。「映画」としてはこれ以上ないぐらい、深く考えられてると思います。「行って帰ってくる」という映画の王道、ストーリーテリングの王道を行くところも含めて、どこかピクサー的というか、誰かひとりの天才の才能に負うのではなく、ものすごく頭のいい人たちが、集団で、徹底的に議論して、みんなで鍛え上げてつくった映画なんだろうな〜という印象も強く残りました。ハリウッドすげ〜。

あと個人的に「おっ!」となったのが、エンドロールのなかにギター、ジョニー・マーというクレジットを見つけてしまったこと(笑)。細かくてすいません。信者ですから^^

でもジョニー・マーってこういう映画大好きそうだよね。僕もこういう映画大好き。まだまだ映画という表現形態には多くの可能性が残されているということが確認できたという意味でも、とても良い映画体験だったと思います。