冷たい熱帯魚

初日に映画行くなんていつ以来??しかも舞台挨拶のある13:20の回を観てきました。昨今の映画館にしては珍しく、観客の大部分が男性。立ち見もでる大盛況の中での封切りでした。素晴らしい!
で、映画ですけど、上映前の挨拶で園監督が言っていたとおり、ブラックコメディでしたね。西村風残虐シーン満載なんだけど、そういうシーンには必ずギャグが入ってる。残虐になればなるほど分かりやすくギャグが入ってくる。だから「痛さ」だけが際立つ作りではない感じかな(「痛い」ことに関しては、「愛のむきだし」の小池が死ぬシーンのほうが痛いと思う)。
むしろ、園監督の癖というか、芸風がよりはっきりしてきたということが印象に残ったかな。
まずは「演技」を撮る監督であること。これはご本人もあちらこちらで言及されていたように思うけど、カメラの画角とか、そういうことより、演技そのものを重視している監督なんだと思う。今回もいやおうなく殺人に巻き込まれていく吹越満さん、狂気の殺人鬼、黒沢あすかさんはじめ、キャスト陣の演技は秀逸。なかでも圧倒的な存在感を発揮していたのが、でんでんさん、ですよね。この人すごかった。もう完全に映画を支配していたと思う。恥ずかしながら私はこの映画ではじめてお名前を覚えたのですが、声、佇まい、動き、何をとっても完璧。あの役はでんでんさんにしかできないでしょ。
映画のテーマが「父親越え」であることも、もはや園映画の定番ですよね。同行してくれた人が観察眼鋭く毎回十字架が意味ありげに登場するのも父親越えの話だからと言ってたけど、僕もそう思う。彼が描く父親を越えることのイメージに対しては実は共感しきれない部分もあるんだけどね。。
あと大事だったのがおっぱい。です(断言してみる笑)。もうとにかく映画の冒頭から神楽坂恵さんの豊満なおっぱいがね。これでもかと。強調されまくるわけです笑。まあサービスでもあるだろうけど、あれは主演の吹越さんが母性の保護の外に出ようとしないお子様であることを強調する要素でもあるんだろうと思った。彼はおっぱいに顔を埋める。でんでんはおっぱいをもみしだく。で、神楽坂さんとは異なり、自らが母性を発揮することよりも強い父性に保護される(隷属する)ことを求めている黒沢さんはあんまり巨乳じゃなかったり。意図的にそういうキャスティングにしてるんだろうな。
というわけで、サービス精神満載、いつもながらのジェットコースタームービーで、大変に楽しかったわけですが、いくらか不満も。
珍しく最初の15分ぐらいがだれているように感じたのは、つい最近、逆に最初の15分が異常に手際よかったデヴィッド・フィンチャーをみたからかな。それぞれの登場人物のキャラクター、置かれている状況を説明するための会話劇、なんだけど、もっとテンポよく出来なかったのかな〜と思った(「ソーシャル・ネットワーク」がすごすぎるのかもしれんが)。
あとは説明しすぎってことかな。これはネタばれにならずに書くのが難しいので詳細には書きませんが、それは台詞じゃなくていい!と思う台詞がいくつか、それもすごく大事なところであったかな〜。あれだけ演技できてたら、わざわざ台詞で説明してくれなくても分かります!って感じ。。。
とはいえ、そういう過剰さも含めて園映画なんだろうな〜と思います。面白い映画であることは間違いない。高く評価されているという「脚本」も、なるほど、よく出来てると思います。きれいな三幕構成、みたいなことも含めて、さすがに映画については誰よりも真剣に考えていそうな園さん、高橋さんのコンビでつくっただけある。ある意味、大変教科書的にも良くできた映画じゃないかしら。
例によってエログロが苦手は人は別ですが、そういうことで怯まない人は是非劇場で。で、映画見たあとはホルモン焼き!ね(笑)