田窪恭治展

四国に通っていたのはもう8年も前の話なのか。。その頃は香川県のコンサルをやってて、そのときにアートをテーマにした地域振興を提案してて、香川アートフォーラムっていう企画をやりました。基調講演はベネッセの福武会長、パネリストに今は金沢21世紀美術館の館長になってる秋山さん(当時は地中美術館館長)、猪熊弦一郎美術館の副館長、あとイサム・ノグチ庭園美術館の人、進行が当時のカーサ・ブルータスの編集長の吉家さんという(いまにして思えば)ずいぶん豪華なメンバーでのフォーラムでした。そこで提案したのが「瀬戸内海」をテーマにしたビエンナーレの開催で、当時構想したものとは少し違う形だけど、去年それが実現したわけですよね。
で、当時からもちろん香川県琴平山で行われていた田窪さんのプロジェクトには大変に興味を持っていて、何度も実際に見に行きました。椿の絵とか、ほんといいんですよね〜。資生堂パーラーがやってるカフェもすごく良かった。
で、その田窪さんの東京では初の大型個展。当然行きますよそりゃ。豪華な現代美術館の空間をえて、田窪さんのこれまでのお仕事を見事に概観する展覧会が実現してたんじゃないかな。
リンゴの礼拝堂以前、若いころの作品は初めて見ましたが、あんなにアバンギャルドなことやってる人だったんですね。70年代かっこいい!椿のレリーフ、かちゃかちゃ音をたてる鋳物の敷物も空間のスケール感を生かした展示で良かったです。映像はちょっといまひとつな気がしましたけどね(苦笑)。
でもいま観てもリンゴの礼拝堂の仕事はすごいな〜。地域との恊働とか、言葉としてはみんながいうけど、あれほど具体的に、粘り強く実践した人はなかなかいないと思う。その結果たどり着いた「風景芸術」という概念にもとても共感できる。あの礼拝堂は、映像で観るだけでも、ぞんぶんに「祈り」の空間に相応しい、静謐な空気を感じさせてくれる。