MOTアニュアル2011 Nearest Faraway 世界の深さのはかり方

毎年楽しみにしている都現美の企画。今年も面白かったです。
昨年もそうだったけど、この企画では圧倒的な手間暇をかけた手技系のアーティストが取り上げられることが多い。今年も偏執狂ですかってぐらい一つの作品に対する仕事量が多い作家が紹介されていて、椛田ちひろはその代表格だろう。油性ボールペンでひたすら塗りつぶされた絵は不思議な光沢を放つ。ぬめりを感じるような、独特な光沢が闇の深さを感じさせる。
池内晶子のインスタレーションも素晴らしかった。絹糸を蜘蛛の巣のように張り巡らした、繊細極まるインスタレーション。たった4点で留められているのが信じられない。細かい手仕事だけが生み出す緊張感。素晴らしかった。塩保朋子さんとか、手塚さんとか、ああいう手仕事系のアートが好きな方は必見ですぜ。
改めてMOTアニュアルの主旨を読むと、「日本/東京の新しい美術を紹介する」とされている。今年でもう11回目。こういうシリーズを持つ(続ける)ことって大事だよなと改めて思った。毎年毎年新しいテーマで展開されるMOTアニュアル。時々のキュレーションのレベルが素直に問われてしまうという意味でも、美術館側にとっては勇気のいる企画だと思うが、やりがいもまたあるのだろう。
今後もこのシリーズは見続けていきたいと思う。