SUPER8

前評判の高かった映画。楽しかったな〜。
宇多丸師匠が詰め込みすぎとか、脚本がどうとか、回収されてないエピソードがとか、あの親父って何もしてなくない??とか色々言ってて、全部正論だと思うけど、まあそんなの分かってるよ!!って感じで、それでも僕は好きですよ。この映画。
E.T.とか未知との遭遇とかグーニーズとかで映画を覚えてきた僕ら世代のノスタルジーを掻き立てる映画であることは間違いない。もう最初のあたり、男の子たちが自転車で坂道をばーって駆け抜けてくシーンだけでぐっとくるもんね。ルービックキューブっぽいアレとかさ。でもそれだけじゃないと思うんだよな。
僕はあの映画には他者を肯定することの意味とか強さとか、そんなことを感じました。他者を受け容れることで成立するコミュニケーションの力。
この映画にでてくるオトナたちは、アレを科学的に解明し利用しようとする。あるいは子どもたちに何かを説明しようとしたり導こうとする。しかし傷ついた男の子を救うのは、説明してくれる大人じゃなくて話を聞いて共感してくれる女の子や友達だし、アレが引き起こす問題を解決するのも、強大な科学でアレを科学的に理解しようとした空軍ではなく、アレの気持ちをただ肯定的に聞き取ることができた男の子なのだ。
思えば僕らは解明したり説明したりするコミュニケーションに疲れてしまっているのかもしれない。梨木香歩さんが影響を受けたというウエスト夫人の言葉を思い出す。「理解はできないが受け容れる」。この映画から、スピルバーグからJJエイブラムスに受け継がれているのであろう「分かったふりなんかしてくれなくていいから、誰かに受け容れられたかった」というメッセージを受け取るのは穿ちすぎだろうか。
まあとにかく、子どもたちはむちゃくちゃ素敵だったよね。エンドロールでかかる8ミリ映画も最高。あの短篇には映画にとって大切なことがちゃんと全部はいってる。
サイタマノラッパーの入江監督のコメントにとても共感する。「僕が内気で根暗な子供時代を『グーニーズ』でずいぶん救われたように、この映画に救われる子供たちがいますように」。