カーズ2

ピクサーすげ!!
今回もまた本編前のおまけ(毎回ついてるあれね)からやられました。トイストーリーからのスピンオフ。たぶん5分ちょっとの短篇なんだけど、ピクサー節全開。ケンとバービーが愛おしくてたまらんです。トイストーリーを3まで観てる人はもうこれだけでも温まりすぎるぐらい温まってしまうと思う。うるうるしたり、笑ったり。準備体操には十分すぎるクオリティ。
で、あのいつものモーションロゴからの本編。僕は「カーズ」は観てなくて、いくらピクサーとはいえ果たしてこの車がしゃべるというお子様展開に初老のおじさんが乗り切れるのだろうかと心配していたのですが、、、杞憂とはまさにこのこと。基本的には子ども向けでありながら、大人がみても存分に楽しめる仕上がりになっています。
もう導入からしてね。前に宇多丸師匠が「ピクサーは毎回技術的にこれができるようになりましたってポイントがある」みたいなことを言ってたと思うけど、今回はのっけの海のシーンがそのひとつなのかも。冒頭にど派手なアクションを入れるのも最近のピクサーの定型でしょうか。今回もまた、このうねる海からのアクションシーンで、すっかりカーズの世界に連れていかれてしまいます。あとはもう圧巻のピクサー劇。クライマックスまで一気。無駄なく、隙なく突き進んでいきます。まさにエンターテイメント。問答無用の面白さ。
あとね、僕がピクサーでほんとに偉いな〜と思うのは、物語の王道に素直なところなんですよね。この物語も基本的な構造は(これも宇多丸さん風にいえばだけど)「行って帰ってくる」話。そして旅の過程で、主人公が成長する。実はピクサーは、全く同じ構造の話を、手を替え品を替え、やっている。
逆にいえば物語というのは基本構造が同じでもその語り口、キャラクターの設定などによりこれほどのバリエーションを持てるってことだ。よく芸術に関してオリジナリティの有無が話題になるけど、ピクサーをみてると、それこそ何百年、何千年と続いてきた物語の構造をそのまま生かしながら、高いオリジナリティを発揮してしまっている。まるで革命的な何かを求めて迷路に入り組んでしまいがちな他の表現者たちを嘲笑うかのように。
本気でやれば物語ってのはこんなに面白いんだよと。ピクサーにはそう教えられているような気がします。悪役を単なる悪役にしない、悪役側にもちゃんとそうなる理由があるが描かれているところなんかも含めて、ほんとに今のピクサーのクオリティはただごとではないと思う。ぜひ映画館で。