モールス

すっごい良かったんだけど、、、「ぼくのエリ」は更にいいらしいですね。実は観てないんですよね。でも「ぼくのエリ」がもっと良いのであれば、「モールス」を先に観て良かったのかもしれません。なにせ「モールス」は「モールス」でとても良くできた映画でしたから。オリジナルと比較することなく、純粋に楽しむことができました。

ヴァンパイアものってね、やっぱり後味がきゅーんと悲しくなる。のは物語というか基本的なキャラクター設定上の必然だと思いますけど、それにしても「モールス」は切なかった。美しく儚い少年と少女の関係性にぎゅっと的を絞り込んでいるのはハリウッドらしくていいんじゃないかな〜。例えばフランケンシュタインだったら社会に対する批評性が薄くなるとつまんないけど、ヴァンパイアものは純粋な恋愛物語、しかも成就することのない恋愛物語に収束させるのが正解だと思います。だから「ロミオ&ジュリエット」が重要なモチーフとしてでてくるんだよね。この映画にも。「ぼくエリ」のほうは、単純な恋愛物語には収束しきれない、もうひとつ重要な「仕掛け」があるらしいですが、「モールス」のシンプルさも良いと思います。なにせクロエ・モレッツはやっぱりたまらなく魅力的だしね^^

マット・リーブスは前作の「クローバーフィールド」があんまり好きじゃなくて、ちょっとどうなんだろうと思ってましたが、この映画ではとても好感のもてる絵づくりをしていたと思います。アクションの見せ方(一番派手なことが起きてるところをあえて見せないで間接的に表現するあたりとか)は好き嫌いが分かれると思いますが、この映画で思ったのは、登場人物の細やかな感情表現に関する演出には力がある、ということでした。演出というよりは役者の力なのかもしれないけど。でもアクションものより、心理描写の多いスリラーものとか、ホラーのほうが向いているんじゃねとは思いましたよ。

あとね、これが一番大事だと思うんだけど、「クローバーフィールド」が、その原点であろう「ゴジラ」へのリスペクトを明確に感じさせるのと同様、この映画にも伝統的なヴァンパイアストーリーに対するリスペクトががっつりと感じられることにはとても好感を持ちました。きっとこの監督はいい人なんだだと思う^^

だからこそ、「いい人」がつくった「普通に良い映画」の範囲内といえば、それはそうかもしれんとも思います。「ぼくエリ」にはもっと変態がつくってる雰囲気を感じるので、何人かの友人に指摘されたとおり、きっとぼくは「ぼくエリ」の方が好きなんでしょうね。できれば映画館で観たかったけど、次の上映がいつになるか分からないので、DVDでもいいから観てみたいと思います。観れたらまた何か書きますね。