2011年ふりかえり 舞台系

いろいろ観たはずなんだけど、あんまり書いてないな〜。

チェルフィッチュ「ゾウガメのソニックライフ」
○リミニ・プロトコル「ブラック・タイ」
○十七戦地「花と魚」
劇団黒テント「つきのしろ」
○トラッシュ・マスターズ「背水の孤島」
○ITI世界の秀作短篇研究シリーズ「ひかりのない」
チェルフィッチュ「三月の五日間」

えっと、タグから拾うと以上ですが、ほかにもルーデンスとか、ダンス公演はいろいろ観てるはずです。完全お仕事モードで観たものはなんとなく感想が書きづらいのよね(苦笑)。ただ、何を観たにせよ、今年のナンバーワンは文句無くリミニ・プロトコルだな〜。個人的には、ピナ・バウシュの舞台を初めて観たときに匹敵するぐらいショックだった。揺さぶられた。

テーマ(移民が経験するアイデンティティの喪失)そのものが好み、というか、僕がずっと関心を持ち続けていることだったのも大きいと思う。でも、それ以上に、表現としての洗練、さりげなく突き刺さるテキストの鋭利さ、そしてあの女性の深みのある声、あの声がいまも強く印象に残って離れないのだ。派手なアクションやクライマックスがあるわけじゃない。むしろどこか突き放した印象のある、クールな舞台。でもあの舞台には、あのとき、あの瞬間、演者と観客が確かに同じ感情を共有しあっていたという親密さが同時にあって。それはまさに「舞台」でしかありえない経験で。だから、涙腺決壊とか、そういうことじゃなく、もっと深いところで、あの時の感情が残り続ける。ああ俺はこういうものが観たかったんだよ、とほんとにそう思った。

あとは十七戦地かな。エンディングがどうなんだろ、という感想はいまも変わらないけど、トラッシュの中津留さんほど声高な感じでなく、でも鋭利に時代を切り取った本は見事だったと思う。新人戯曲賞も納得。改めて、おめでとうございます。再演とともに、次回作を楽しみにしております。