大拳銃/へんげ

シアターNにて。大畑創監督の二本立て。

大拳銃は、倒産寸前の町工場を舞台としたノワール。16㎜の映像の質感が素晴らしく、30分の中に濃密なストーリーがある、普通に「良くできた」映画。ラストシーンの特撮には監督の執着が凝縮されていて、うん、面白いと思いながら観たんだけど、、、なにせ次の「へんげ」が凄すぎて。印象が薄くなってしまったかな。それぐらい「へんげ」が強烈だったのだ。

ゼッタイ書いてはいけないあのラスト!!爆笑しながらもなぜか泣けてくるあのラスト!!これこそ映画のマジックじゃないか!!

いや、正直、途中まではものすごく雑な映画なんだよ。変身もの、なんだけど、例えば「フライ」みたいに変身そのものがある種の社会批評になってるわけでもないし、なぜ変身が起きたのかもいっさい説明されない。ただただ唐突に主人公に変化が起きるだけ。周りの反応も不自然というか、そんなわけねーだろ!!と突っ込みたくなるところだらけで、、、まあはっきりいって不細工な映画なのだ。でも最後の最後、ああ、これが撮りたかったわけねと納得せざるをえないシーンがあって。。

映画って不思議だなと思う。こんな破綻した映画でも、ストーリーも理屈もめちゃくちゃでも、ときにこんなカタルシスが産まれてしまうのだから。そこにあるのは、圧倒的な映画愛(もしくは円谷魂!)。

立派な映画ではないと思うよ。思うけど、俺は好き。こういう映画愛まるだしの映画は大好きだ。