ふがいない僕は空を見た

Twitterでは期待値あげすぎたかも、、、とか微妙な反応をしています。はっきりと嫌いなところもあります。でも。。

重いテーマに真っ正面から向き合った力作であることは確か。

特に役者さんはみんな素晴らしかった。タナダさんは若い役者に良い演技をさせるのが本当に上手いと思う。

がっつり濡れ場を演じてみせた田畑智子はもちろん素晴らしい。迷いながら溺れていく高校生役の彼も素晴らしい。みっちゃん役の彼女も、田畑をいじめる姑も最高。しかしなんといってもこの映画一番の白眉は、あの校庭の、素晴らしく美しいシーンではないか。

いまここにある貧困。難しい役どころを見事に演じてみせたあの人は窪田正孝というのですね。彼の目線の強さ、表情、身体から滲みだすリアリティは凄まじかった。めちゃくちゃ良い役者さんじゃないの!!

それにしても泣いたな〜。あの校庭のシーンには泣かされた。サウダーヂのあのクライマックスもそうだが、積み上げ、積み上げてきた細かいエピソードが凝縮され、炸裂する瞬間。映画上映後に行われたティーチインでもタナダ監督自身が「奇跡」と語っていたが、映画ではときどきこんな奇跡が起きる。これは疑いようもなく映画だけがもたらすことのできる愉楽だ。とても痛く、苦しく、でも身体の一番深いところが揺さぶられるような、震えるような、愉楽。

久しぶりに高校に登校する友人にさりげなく付き添い歩く彼の佇まいも素晴らしかった。人生は複雑で、困難で。いつも込み入っていて、ややこしくて。誰もがこんがらかって、行き場がなくて。でもそれでも、僕らは生きていかなきゃならない。歩いていかなきゃならない。あのシーンの彼の表情、強い覚悟を感じさせる彼の表情には、この映画が伝えようとしていることの全てがあったと思う。

二時間半近い長尺。でもその長さにちゃんと必然性がある、重厚な映画でした。