ゼロ・グラビティ

クリスマスイブ。ぽっかり仕事が空いたので蛮勇を発揮して一人六本木ヒルズへ。ちょうどよい時間帯にやっていたので、「ゼロ・グラビティ」と「かぐや姫の物語」を連続して観た。

ゼロ・グラビティ」は噂に違わぬ凄まじい映画だった。映画としてよりも、映像体験として語りたくなる感じ。この映画はなるべく設備の良い映画館で観るべきですね。六本木ヒルズの2番スクリーンは、画面も大きく、3Dもきれい、音響もとても良くて、この映画を体験する環境としては申し分なかった(もっとも川崎のIMAXはもっと凄いんだろうけど。。)

事前に聞いていた「無重力」表現へのこだわりは、文章に直して伝えるのが難しい。徹底的に検証を重ねたであろう音の表現、動きの表現、今後、宇宙空間を描く映画は「ゼロ・グラビティ」があったことを意識せずにいられないのだろう。黒沢がチャンバラ表現を、オリバーストーンが戦争表現を、それまでの映画とはまったく別のものにしてしまったように。。。

しかもこの映画は、単に映像の「凄み」だけに頼った映画ではない。芯に流れているストーリー、メッセージは極めて骨太だ。しかもそれは、分かりやすい台詞やモノローグに変換されることなく、あくまでも映像と演技の力によって示される。ラストシーンのあのサンドラ・ブロックの見事な立ち姿、無重力表現にとことんまでこだわったことにテーマ上の必然性があったことが、これ以上ない力強さで伝わってくる。その震えるような力強さに思わず落涙してしまったのはきっと僕だけではないだろう。

いまは時間がないのでまた別に書くが、この後にみた「かぐや姫の物語」とこの映画、お話としてはまったくこの逆の構造となっている(あちらは宇宙(というか・・・)に帰る話、こちらは宇宙から帰る話)。しかし通底しているテーマは、実は同じなのだと思う。

生きよ。この世を精を尽くして生き抜け。

考えてみれば「風立ちぬ」も同じテーマの映画だった。911、311を経た私たちの社会で、映画はいまとても立派な仕事をしている。