十七戦地「眠る羊」
観劇の帰り道、Twitterに書いたものを転載しておきます。
さて。なぜか十七戦地の時だけ恒例の帰り道感想ツイート。
休演明けで気負いすぎたのか、役者の皆様、不調だったようで。演技については触れず、本のことだけ(そもそも演技については語る言葉を持たないしね)
法廷劇って演劇でも映画でも定番の一つだと思うけど、演劇には特にあってるよね。証人喚問のリハーサルというのは始めてな気がするけど。
空間が限定されていること、会話が嫌がおうにもスリリングになることがその大きな理由なんだろけど、だからこそ書き手の力量が試されるというか、書き手にとって挑戦しがいのある形態なんだろうなと思う。
しかして柳井さんはさすがの書き手で、どいつもこいつもろくでもない感じとか、法廷劇が面白くなるためのツボは押さえてるなという感じ。決めゼリフもなかなかの切れ味。
だったらお前も泥水をすすれよ、とかね。あらはパンチあったな。
ただ、これは本よりも演出とか演じ手の問題かもしれないけど、ああ、こいつがこんな決断をするのか!みたいな驚きとか、そういうのには乏しかった気がする。
クライマックスの決断も、、、むにゃむにゃむにゃむにゃ(これから見る人もいるだろうからネタバレ回避
ただ、ああ、やっぱり柳井君はいい人なんだなあと。
個人的は映画にしても演劇にしても信じられないぐらい悪辣な奴が出てきてやな奴すぎてフォー!みたいなものに惹かれがちですが、この結末も悪くなかった。単に後味スッキリなわけでもないしね。大人や。。
ただ、巨大な不在としての父親は、もう少し掘り下げられたんじゃないかなあ。もっと美味しいキャラクターになり得たんじゃないか、もったいないと思ったわけですが、それが本によるところなのか、演出によるものなのかはよく分からない。
兄貴はなかなか良かったな。いい具合に現実離れしてて。いまどきあんなにおっちょこちょいなキャリアいないよ笑。
なんだか推敲せずに書いてることもあって大層不遜な感じでありますが、それもこれも柳井さんの本にはがつちり信頼があって、期待してるレベルが高いからだとご理解いただけたらありがたく。
今回も、もう少しあそこがここがと言いたくなることはたくさんあるけど、最初に書いたとおり、実力試される法廷劇をきちっとエンターテイメントに仕上げているのはさすがだと思います。楽しかった。
あと、観た後に色々語りたくなるのは、柳井さんの、十七戦地の演劇の、最もいいところだと思う。ちゃんと余白があるからね。考える部分が残されてる。それはとても好みなところ。
今回もややこしい(そしてとてつもなくタイムリーな)テーマを扱ってましたが、ぜひ皆さんもご覧になって、あれはあーだこーだと激論するといいと思うよ。オススメです!