アナと雪の女王

娘と久しぶりの映画館。ピカデリーで2D吹き替え版。娘と一緒ならどんな映画だって楽しいわけですが(のろけ)、この映画は特に楽しく観ることができました。

ジョン・ラセター流のディズニー映画がひとつの完成形に到達したと言って良いのでは。ラセター(=ピクサー)の良さとディズニーの良さがいい具合にミックスされ、上等なエンターテイメントに仕上がっていると思います。

まずは誰もがいう歌の素晴らしさよね。ディズニー映画の感動の大半は「歌」の素晴らしさ、もっといえば「歌劇」という手法が持つ普遍的な説得力によってもたらされるていることを改めて実感しました。大流行りしているレリゴー♪はもちろん、歌のシーンはどれも素晴らしかった。雪だるまつくろうの時点で泣きますもんね。すでに。

ちなみに「雪だるま」のシーケンス、お話の本筋が始まる前にその前提となるプロットをばばばーっとやっつけるのはラセター以降のディズニー映画の定番になってますよね。しかもこれがまた泣けるんだよな〜。カールじいさんもね、冒頭の奥さんと暮らした半生の回想シーンが一番泣くもんな。今回もまた、雪だるまのシーンでは涙腺が決壊してしまいました。

ほかに、ラセターがピクサーから持ち込んだことでいえば、本編の前に別に短篇がつくところとか、エンドクレジット後の気の利いたおまけとか、おいしいサブキャラとか、そして何より、今回でいえば「氷」の表現で発揮されているCGアニメの圧倒的な技術をあげるべきなんでしょうが、今回の「FROZEN」を関してより強く感じたのは、「オチ」がピクサーっぽいな〜ってこと。オチというよりは「おはなし」の運び方なのかな。

「本当の愛」。いかにもディズニー的な、そして扱い方によってはどうしようもなく陳腐になってしまうテーマを、主人公が冒険を通して成長し、自らの力で問題を解決するというピクサー流の「おはなし」の基本フォーマットと融合させ、単なるおとぎ話とはひと味もふた味も違う感動をもたらしてしまう。時に単に王子様を待つだけで何もしない、受動的な存在になりがちだったディズニー映画のヒロインを、これ以上なくピクサー的な主人公に仕立てあげてしまう。いやはやピクサーの絶好調期によく言われてたことですが、「こわいわ!」って評価を思い出させる、見事な着地だったと思います(例のレリゴー♪が中盤とラストでまったく違う意味になるのとかね、見事すぎますわ、ほんとに!!

もちろん、あくまでもミュージカルとしてのテンポ、リズムを重視するあまり、お話としての矛盾、詰めの甘さはなくもないと思います。突っ込みどころはたくさんある。でも歌劇としての圧倒的な魅力と着地の見事さだけでオールオッケーでしょう。個人的に偏執的にいれあげてしまうタイプの映画はないですが、とにかく「良く出来てる」映画でした。ラセターすごい。