6才のボクが、大人になるまで。

ようやく仕事が落ち着いてきて映画館に行く時間ができはじめた。立て続けに色々見てるので簡単にメモ。

6歳のボクが、大人になるまで。個人的には今年ベスト級の大好きな映画だった。

主要キャストは変えないまま12年間にわたって撮影したことで話題となった本作。これといった事件が起きるわけでもなく退屈という向きもあるようだが、人生のなかで(良くも悪くも)最も濃密な12年間である「少年時代」をわずか3時間足らずで追体験するわけで、僕はむしろジェットコースターのような映画だと感じた。退屈するところなんてどこにもなかった。

誰もが言及する音楽やゲームの使い方の素晴らしさもさることながら、オバマの登場など、アメリカ社会の変遷を描いていることもにとても好感をもった。映画をみる観客は、この少年の12年間に自分の少年時代を重ねると同時に、2002年から2014年を自分がどう生きたかを思わずにいられないだろう。子育てをしている親にとってより破壊力のある映画であることは確かだろうけど(あの母親の台詞は号泣・・・)、いわゆる「青春」を通過してきた大人にとっては、子どもの有る無し、男女を問わず、誰にとっても鮮烈な映画になっているのではないか。

とにかく演出の上品さが印象に残る。さっぱりと、淡々としながら、だからこそ立ち上がる詩情。リンクレイターの代表作であるビフォアシリーズは実は未見なのだが、なるほど、これなら周りに好きな人が多いのも頷ける。ぜひともビフォアシリーズも見なければと今さらながらに。