百円の恋

安藤サクラの、安藤サクラによる、僕らのための映画。
ストーリー展開は完全に「ロッキー」で、結末も含めて全部予想できるんだけど、それでもあの練習風景、試合シーンには号泣してしまう。本気で自分と闘う人の美しさ。ロッキーのスタローンがそうだったように、映画のキャラクターとしての一子と、それを演じる安藤サクラが、この映画では完全に一体化している。そしてそういう奇跡を起こせる映画は、実はそう多くはない。映画が終わったあと学生っぽい男子3人組が「あそこ台詞でいわせる必要あるかね?」とか「あのスローモーションは俺ならやならいな〜」とか映画通ぶった「評論」をこれみよがしに話し合っていて、後ろからぶん殴ってやろうかと思った。お前らにこれほど人の心を揺さぶる何かをつくることは未来永劫無理だ。