セッション

台湾出張の機内にて。チャイナエアだったため英語音声、日本語字幕が選択できず、日本語吹き替えはあるものの、ちょっと観ただけで「これはない!」と思ってしまったので、英語音声、中国語字幕で観ることに。まあ台詞も少ない映画だし、漢字のヒントもあるし、ある程度は理解できたと思います。が。

トップを目指す人たちの狂気を描いた映画。音楽のためなら死んでもいいと思ってる人たちの映画。なのは分かるし、それ自体は嫌いじゃない(例えば「レスラー」は大好物だし、「風たちぬ」もある意味、ものづくりへの情熱のために人を不幸にするろくでなしの映画、だけど大好き)なのですが、狂気の人が生徒を追いつめて自殺させちゃうってのはやっぱりなんとも抵抗が。しかも自動車事故で死んだとか嘘ついてるしな〜。

J・K・シモンズがまさに「はまり役」としか言いようのない役にあたったことは素直に良かったと思う。撮影も編集も素晴らしくて、映像は低予算映画とは思えないぐらいリッチ。原題になっている「whiplash」の演奏もかっこいい。だけどやっぱり僕はこの映画には納得できない。別に善良な映画が観たいわけじゃないけど、スパルタ万歳的なお話の運びにはどうしても抵抗が残る。

あと。曲がりなりにも元音楽を目指した人の一人としてどうしても納得いきにくいのがラストのクライマックスなんだよね。楽器をやってる人なら誰でも分かると思うけど、楽器は1日さぼったら3日分下手になります。これは楽器に限らないよね。棋士も3日勉強をさぼったらアマチュア並みの棋力しかでなくてびっくりしたと言ってたけど、文章を書く仕事でも、絵を描く人でも、みんなそうなんじゃないかしら。

あのクライマックスが「熱い」シーンであることは確かだけど、しばらく楽器から離れた人が突然これまでにない演奏をやってのけるってのは、やっぱりちょっと無理があると思う。