博士と彼女のセオリー

台湾からの帰りの飛行機ではこちらを。こちらは会話劇だと予想されたし、専門用語も多そうなので最初から日本語吹き替えで。自分の英語力が足りないのが残念。。。

博士と彼女のセオリー」という邦題がそうさせてるのか、filmarks観てると、恋愛映画かと思ったらそれだけじゃなかったみたいな感想を多く見かけたけど、僕としては思ってたより恋愛映画だったなと。ただやっぱり原題の「Theory of everything」のほうがしっくりきてるよね。

この映画は色々なものが繋がり合おうとする映画だと思う。

ホーキング博士が探す統一理論は(映画のなかでもさらっと説明されているし、それがこの映画のキーになっていると思うけど)物理、SF好きには有名な相対性理論量子力学の相克の話。どちらも正しいと信じられている二つの物理理論。しかしその両方が正しいということはありえない(二つの方程式を併用すると、数学では御法度中の御法度であるゼロで割る現象が発生する)。ホーキング博士を筆頭とする現代の物理学者たちは、この相克を乗り越える統一理論を求めて日々エキサイティングな研究を進めている(いわゆる「超ひも理論」ってやつね)。

これと同じように、この映画ではなぜか相容れることのできないもの同士がつながりあおうとしている様が何層にも重ねて描かれている。物理学と文学。障害と健常。そして男と女。。。

美しく、ロマンチックな映画だった。アカデミー主演男優賞を持っていったエディ・レッドメインの演技は、まさにその賞に相応しい。目線だけであれほどの表現ができるとは!!そして最初の妻、ジェーンを演じたフェリシティ・ジョーンズもまた素晴らしい。実はこの映画はホーキング博士の映画である以上にジェーンの映画なのではないだろうか。そう思えてしまうぐらいに素晴らしい。あの「私は精一杯やった」という台詞には思わず号泣してしまいました。ほんとにね、あんなに精一杯やったのに、それでも、、、(まったく人生は物理と同じくややこしい)

あまりにも多くの要素を含んでいるだけに、ちょっと踏み込みが浅いような気もしなくもない。散漫といえば散漫。ただ、あまりにドラマチックな博士の人生を描くのであればそれもまた仕方ない。むしろ凡長にせず、きっちり120分にまとめたことを褒めるべきだと思う。大傑作とはいわないまでも十二分な佳作。

ところで、ホーキング博士といえば、ごく最近に読んだこのインタビューも印象に残っている。http://www.huffingtonpost.jp/2015/02/25/stephen-hawking-aggression_n_6757220.html

僕はこうしたホーキング博士のロマンチックな側面にとても惹かれている。ヴォネガットに惹かれたのと同じように、僕はホーキング博士に惹かれている。いま彼こそが僕にとってのロマンチストだ。いいよね、エロジジイ!