進撃の巨人(前編) アタック・オン・タイタン

いろんな意味で残念。

えっと。僕は「片腕マシンガール」とかは大好きでして、井口昇さんとか、特殊効果の西村さんとか、いわゆる「あの」近辺の映画は大好きなんですね。そしてもちろん、町山智浩さんにはとても影響を受けたし、町山さんの映画批評も(最近のたまむすぎはちょっとどうかと思ってたけど、それはどちらかといえば聞き手の問題のような気もするし)それこそ自分の映画に対する価値観、評価軸の基礎になったのではと思うぐらいで、町山さんがいなければ決して見ることがなかった映画のなかに本当に本当に大好きな映画もたくさんあって、感謝の気持ちがものすごく強いわけです。それでもこれはな〜。。。

とにかく誰もがいうとおり、ドラマ部分がダメすぎる。それは明らかに脚本と演出の失敗で、セリフのダサさとかはもう一体なにをどうやったらここまでダサくなるのかと。。。説明台詞がダメだとか、ギャグ部分は苦手なんだったら専門家に任せればいいのにとか、漫画の吹き出しとは違うんだから、そんなこと生身の人間は言わねえよとか、町山さんがこれまで散々映画批評のなかで腐してきたことがほとんど全部でてくるという。。。なんでこうなるの。。。

キャスティングのミスマッチもひどいと思った。武田梨奈の使い方とかさあ、石原さとみの間抜けっぷりとかさあ、ピエール瀧もねえ。脚本と演出とキャスティングの相互作用ですべての役者がひどい役者に見えるという。ものすごい不幸(あ、でも水原希子だけは例外、超きれいやな、水原希子!!)。

特撮は頑張ってたよね。立体機動とか意味わからんけど。巨人の造形もとても良かったと思いますよ。人を食べるシーンはちょっと数が多すぎてくどいけど。字多丸師匠が「小さくない」と評していた世界観の作り込みは僕も良かったと思う。壁でかい。すてき。特に最初に超大型が壁越しに登場するシーンはとてもすてき!!あれだけやりたかったと言われたら評価をひっくりかえして全肯定したいぐらい!!

でもなあ、もりもり人を食べる描写で容赦ないでしょとか言われても、ちょっとそれはどうかなって思うよ。ゴア描写がゴア描写のためにしかなってないというか。ほーらここまでやればすごいでしょ!って言われている感じで、途中からはもう不愉快だったなあ。前半にあれをいれとくことで巨人の恐怖を描くのはわかるけど、後半のバトルシーンでも同じようなショットをいちいちアップで見せる必要あるのかね。くどいよ!!

繰り返しますが、私は「片腕マシンガール」とか、あともっとひどいところでは「ゾンビ自衛隊」とかさ、ああいうの大好きなの。本気でバカをやってるから。ゾンビ自衛隊であとで掃除するのだ大変だからだと思うけど、ゾンビが襲ってくる家が引っ越し前日っていう設定になっててね、家中ビニールで養生されるのとか、ほんとに泣けるぐらい好き。少ない予算のなかで全力で自分がやりたいことやる人たちは愛おしいです。井口さんとかは特にドラマも意外にしっかりとしてるしねえ(井口さんの映画は常にドラえもんだと思うんだけど、それはまた別の機会に)。だからこそ、ある程度のバジェットのある映画で、彼らがどんなことやってくれるのかってのはやっぱりものすごく期待してしまうわけで、それであれかよってのがね、、、やっぱりとても残念なわけです。

ただね、あのバジェット感で、こういう映画をつくれるようになったこと自体がとてつもないことだし、そこに至る過程で彼ら(秘宝的な人たち)が果たしてきた役割、努力は正当に評価されるべきだとも思うの。これが失敗作だったからって、こういう映画が日本ではもう作られなくなってしまう(資本を投入してくれなくなる)のであれば、それはさらに残念なことだと思う。だからもういいやって見捨てたりはしたくない。たぶん後編もつまらないと思うけど、それでもきっと僕は観に行くよ。定価で。