ミシェル・ウエルベック『服従」

シャルリー・エブドのテロ事件当日に発表された予言的小説。ということで大変話題になった本。ミシェル・ウエルベックはなんだか興味を惹くタイトルの本(「素粒子」とか)が多く、気になっていた。内田樹さや、宮沢章夫さん、高橋源一郎さんから坂口恭平に至るまで、私の好きな人たちが推薦のコメントを寄せていることもあり、かなりの期待を持って読んだ。が。

これは僕はあまり好きになれない。ネタバレはさけたいので核心には触れないが、この主人公はどうしても好きになれないし、もちろんウエルベック自身も好きになれない人物としてこの主人公を描いているのだろうが、それにしても彼が描く「イスラム穏健派」のあり方は、イスラムに対するミスリードを誘発するのではと思う。皮肉はフランスの伝統だが、人を不愉快にさせるだけの、愛のない皮肉は僕はあまり好きになれない。

服従

服従