ヘイトフル・エイト

今年は本当に映画を見に行く暇がなくて、もう3月だというのに映画館で観れた映画はまだ3本。タランティーノの映画はいつも封切りから3日以内には見てるはずなのに、「ヘイトフル・エイト」も昨日にやっとの鑑賞。気づけば上映している映画館も少なくなっており、新宿で唯一上映している新宿ピカデリーも、一番大きいシアターとはいえ60%程度の入り。入らないねえ。まあ入らないだろうな。。

でも僕は好き。密室劇、くるくる入れ替わる力関係。会話の妙。いろいろな意味でレザボア・ドックスを思い出した(私は実はパルプ・フィクションよりレザボアが好き)。アカデミー音楽賞をとったエンリオ・モリコーネの音楽もかっこよかったねえ。重厚で。このところのタランティーノの映画では一番好きかもしれない。

ただ編集に関してはちょっと重厚すぎるかなと思ったりもした。約3時間。それでも別に退屈はしないんだけど、この内容で2時間、いやせめて2時間半以内におさまってたら、もっともっと好きな映画になったんじゃないかと。見た直後はタランティーノも焼きが回ったか・・・とも思ったんだけど、でもこれ、モリコーネの音楽を生かしたってことなのかもね。

あの重厚な音楽の質感にあわせると、ああいうテンポの編集になるのかもしれない。タランティーノにとって今作はモリコーネと一緒に映画がつくれる、ってことが最大の萌えポイントだったのだろうし、冒頭の永遠続く(無駄に長いようにも感じる)雪道の描写も、モリコーネの音楽をたっぷり聴かせる(効かせる)ためと思えば納得がいく。そして改めて思うのだ。タランティーノは映画の快楽に対して正直な人なんだよなと。

南北戦争。人種差別。アメリカが内包する社会課題を扱いつつも決して道徳的になりすぎないあたりもやっぱり好き。あのラスト、やっぱり気持ち良いもんね(笑)。密室劇ならでは演技合戦も素晴らしかった。うん、まだまだタランティーノは焼きが回ったりしてないな!!


追記:タマフルの評をきいて、この映画が本来目指していた上映形式のことを知り、無駄に長いという印象が消え失せました。なるほど。それで70ミリ撮影なのか!!不勉強ですいません!!日が経つごとにこの映画がどんどん好きになる。