マネー・ショート 華麗なる大逆転

今年観た映画で一番好き。とても好みの映画でした。スティーヴ・カレルはすごいね。去年の「フォックス・キャッチャー」もすごかったけど、この映画ではまったく違うキャラクターを完璧に演じてる。天才肌の変人を演じたクリスチャン・ベール、プロデューサーとして一番美味しい役を持っていったブラッド・ピット、そしてもちろんライアン・ゴズリング。主演級の4人はそれぞれに素晴らしい演技だった。カット割りのテンポ、くすりと笑わせてくれる経済用語解説、そしてなにより、華麗なる大逆転などとは決していうことができない、苦すぎる勝利。何もかもが好みすぎて悶絶した。アダム・マッケイ。天才すぎるわ。

邦題が詐欺。は誰もが言ってるからもう言いません。ただもうひとつ思ったのは、文字どおりのショート(空売り)とこの映画で主人公たちが儲ける手法はちょっと違うんでないの??ということ。僕も経済、特に証券取引関連にはあまり詳しくないこともあり、サブプライムローンMBSモーゲージ債)、CDOが比較的丁寧に(イメージしやすい比喩で)説明されているのに対して、肝心要のCDSはあまり説明されていない気がして・・・中途半端に知識(というか先入観)があるだけに主人公たちがどうやって儲けているのか混乱してしまって・・・

初心者向けから上級者向けまでいろいろな解説ページがでているようですが、私の疑問に応えてくれたのはこのサイト。http://sharescafe.net/48017465-20160307.html
なるほどね〜。いわゆる「空売り」よりはCDSの方がまだわかりやすいじゃないか。そして、私のような中途半端な知識の人が一番危ないんだな〜と(苦笑)。

まあでも、この映画が素晴らしいのは、こういう難解な「からくり」を扱いながら、感覚的にも楽しめることなんだよね。詐欺的としかいいようがない当時のアメリカ証券市場への怒りは経済に関する知識の深度にかかわらず、しっかりと伝わると思う。そして。誰がも責任を取らない仕組みであることへの怒りもまた。膨れ上がる国債。破綻しているようにしか見えない年金制度。日本にとっても他人事ではないとの感想も多く見かけた。その通りだと思う。