ギフテッド

「(500)日のサマー」のマーク・ウェブ。評判よかったので、ようやくできたわずかな仕事の隙間にシャンテで鑑賞。観てよかった。とても好み。とてもとても好み。おれ実は子育て映画に弱いのかなあ(苦笑)。

天才児をどう育てるか。極めてプライベートな話題なので書くかどうか迷うところだけど僕は多分、自分自身も今の時代だったらアスペルガーと呼ばれていたであろう少年だったし、自分の長男もその気質を引き継いでしまっていて。小さいころは明らかに自閉症気味で。数学にはかなりの才能があって(幼稚園児なのにマイナスの累乗とか理解してた笑)。でもそのぶん?友達を作ったりとか、そういうことはとても苦手で。視野がせまくて、身体を使うことも信じられないぐらい下手くそで。小学校ではずっと特別学級でした。妻は「普通」であることを望んでいるように思えたし、僕にしても孤立することのつらさは身をもって知っている。でも一方でせっかくの才能なんだから伸ばすべきなのではと思ったりもして。小さい頃はせっせと数学を教えてました。結果的には(僕があまり子育てにかかわらなくなったのも大きいと思うけど)息子は僕らが心配(期待?)したほど特殊な子ではなかったようで、成長するにつれ人とのコミュニケーションもとれるようになったし、並行して数学へのエキセントリックな才能も丸まって、普通に数学が得意科目の優等生程度に落ち着いたのですが。。。過程ではいろいろな葛藤があったことを覚えている。

そんなわけでこの映画には人ごとと思えないところがあって。フランクの逡巡もすごくわかるし、彼が母親に抱く反発もすごくわかる。ちょっと都合良すぎかもしれない結末も、僕にはとても嬉しく、優しい結末で。凡庸だと批判する人がいても理解できるけど、僕としてはひとりひとりのキャラクターをきちんと掘り下げているからこそ、ひとつひとつのセリフ、ひとつひとつの挙動に無理がないのだと評価したい。この映画を観たことをきっかけに「(500)日のサマー」も再見したんだけど、マーク・ウェブはこういう繊細な小作のほうが向いてるよね。相変わらず音楽の使い方もめっちゃよかった。

そしてなにより、この映画を語るとき、またひとり、天才子役が登場したことに触れないわけにはいかないだろう。マッケナ・グレース。この名前はきっと映画史に残るはず。夕焼けの肩車のシーンを筆頭に、彼女がスクリーンのなかで動いているだけで幸せな気分になれてしまう。泣けてきてしまう。彼女こそまさに、天から特別な才能を授けられた人。その才能を生かすまわりの俳優たちの仕事も素晴らしかったと思う(特に先生役のジェニー・スレイトは良かったなー。エロかったなー。エロいって素晴らしいよなー笑)。

個人的な事情こみでだけど、またひとつ特別な映画に出会えました。