ヒメアノ〜ル

森田くんこわーい。とか言ってるツイートがいっぱいあって、そんなこと言ってるお前らの方がよっぽど怖いんだよ!!とか思った。終始、森田くんに感情移入してみてた。原作は未読だけど、たぶん僕は原作よりこっちのほうが好き。誰もが森田くんになりうるし、岡田くんにもなりうるし、ただ笑ってみてるだけの傍観者にもなりうる。そうやって、僕らはいつでもひとりの人間を「破壊」しうる。

森田くんを演じた森田剛の演技の凄まじさは誰もが言う通り。ヒース・レジャーのジョーカーに並べていいレベル。あの空虚な目。佇まい。まさにブラックホールのような、強烈な存在感。暴力描写も、ああ、人間に包丁指すのって、実際はあんな感じで、浅かったり、深かったり、いやーな弾力があったりするんだろうなあと。森田剛。撮影後の精神状態は大丈夫だったのだろうか。。心配。。

濱田岳のすっとんきょうなキャラクター(モテモテでむかつく!!)、佐津川愛美のエロカワっぷり(暴力としかいいようがない!!)、ムロツヨシの安定のコメディリリーフっぷり(というか冒頭の棒読みセリフからして超良かった笑)、サイタマノラッパーのふたり(名優駒木根さんは太りすぎではないだろうか、誰だかわからなかったわ・・・山田真歩さんは相変わらず上手い!!好き!!)、すべての役者がとても良かった。それはとりもなおさず、脚本と演出のうまさを物語っているし、さらに怖いのは、それぞれのキャラクターが二重の意味を持っていることなんだよね。岡田くんの「いい人」っぷりが何を裏切ったのか。セックスと殺人の裏表一体性(ユカはセックスで全てを奪い去る)。これも誰もがいうことだけど絶妙なタイミングでのタイトルとそこからの転調には震えがきたし、後半は見てる間じゅう苦しくて苦しくて、最後は涙が止まらなかった。賛否両論あるみたいだけど、僕はラストも好きだなあ。あれを甘いという人は何を見ているのだろう。あれほど残酷なラストシーン、ちょっと最近の映画では記憶にないぞ!!

最近だと「ゴーン・ガール」とか「悪の法則」とか、その手の映画が好きな人は絶対に好きだと思うし、僕はそれら級に好き。というか邦画だと「愛のむきだし」以来かというぐらい、偏執的に好き。もう一度みたら生涯ベスト候補のひとつになりうると思う。吉田監督の過去作を漁らなきゃ。