パーマネント野ばら

これは女子たちにはヤバイだろうな〜。
僕はもともと女子向き映画が苦手じゃなかったりするけど、これほど露骨に女子向けにつくられた映画を観たのは久しぶりかもしれない。レディースデイだったこともあって(ぼくが見た劇場は男女とも水曜日1000円という素晴らしい劇場でしたが!)、映画館は女子ばかり。で、劇場からでてくる女子の半分は号泣してたね。目が真っ赤だったもん。そりゃ泣くよな〜。

ただですね、この映画、実はとてもレビューが書きづらいのです。絶対にネタバレしちゃいけない映画なんでね(と書くことでさえ問題あるような・・・)。特に原作を未読の方には、ぜひまっさらな状態で観にいってもらいたいのです。だから、映画館に行く人はもちろん、ビデオで観る人も含めて、これから観る予定がある人はぜったいに以下は読んじゃダメ。一番肝心なところは書かないけど、それでも読んじゃダメ

(以下ネタバレ含む、未見の方は読むべからず)


OK、じゃいきますよ。

まずは菅野美穂小池栄子池脇千鶴、この三人の「女優」の素晴らしさだよね。三人とも本当に良かった。小池栄子は「接吻」での演技も絶賛されていたけど、ほんとうに上手い。今回もまた、彼女にしかできない、はっちゃけた、でもせつない女性を見事に演じきっていて、ほんとうに凄い女優さんだと思った。池脇千鶴もね、良かったよね〜。ああいうもっさりした人いるもんな〜。でも優しい。優しいんだよね〜。

でもやっぱり一番びっくりしたのは菅野美穂。いい女優なんだな〜と。

江口洋介とのデートシーン、ちょっと指をなめちゃうとことかさあ、もうね、萌え死にました(^^)。ぎゃーーーー。かわいいーーーー。えろいーーーー。くるくるーーーー(←観た人はわかるよね♪)

この三人の存在感を上手く包み込んでいる夏木マリさんの存在感もさすが。田舎のおばちゃんたちのエグイ男話も最高だったよね。

映画に登場する女性たちは総じて恋愛ベタ。みんなが愛を求めつつ、求めている愛をつかまえきれずにいる。しかしそれでも彼女たちは明るく強く生きている。それぞれの個性を、それぞれのエネルギーを爆発させながら必死に生きている。そこに悲壮感はない。あのどうしもない難病小説なんかにあるような、観客にセンチメンタルになることを強制するような、とんでもなく浅薄な悲壮感はどこにもない。「どんな恋でもないよりはマシじゃけ」。そういいきる小池のなんとかっこいいことか。

しかし終盤。これまでの重要なキーワードの意味が全て転倒する、とある真実が明らかになる。

小さな嘘。どんな恋でも・・・

これには参った。泣くよりも呆然としてしまった。良く出来た映画だー。これ。

あとあれね、小池のお父さんが電柱をぶったぎるシーンとか、すごいよかったよね。火花が飛び散るところを引きで捉えたカットは見事だったと思う。実は演出的にちょっと疑問なところもあるといえばあるんだけど(なんでキャバ嬢が携帯電話で営業してるの?とかね。せっかく時代設定よりも人物描写に注力してみてるのに、あのシーンのせいでどうでもいいプロットの部分が気になりだしちゃったじゃないか!)、作劇の中でのギャグセンスもなかなかだし、ほんと良作だと思います。

まあとにかく予告編にもある公衆電話のシーンはやばいですよ。ただでさえやばいシーンなんだけど、映画を最後までみて(上に書いた意味の転倒が起きたあとに)思い出すと更にやばい。あれは再見したら俺もぜったい号泣するわ。

というわけで、この映画をみて「殺された」とおっしゃってる女子たちの気持ちが大変に良く分かりました。未見の人は読んでないはずなので、オススメですとは書きませんが、もしうっかり読んじゃった人も、やっぱり観てみるといいよ。

ぼくはぜひ原作を入手したいと思います。まる。